現代人は酸素不足に陥っています。喫煙、運動不足、不規則で過剰な食事摂取などは、体に取り込まれる酸素を減らすだけではなく、肺から細胞への酸素の運搬能力や細胞における酸素の消費能力を減らします。これらを解消するには、体内の酸素を増やすこと、さらに、血液の力強い流れや血管の拡張が必要になります。
酸素カプセルは、高い気圧と高濃度の酸素を使用して細胞の代謝を向上させることを目的として開発された装置です。
体内の酸素は、赤血球内のヘモグロビンと結びつく「結合酸素」と血漿やリンパ液などに溶け込む「溶存酸素」に分かれます。溶存酸素は分子として独立して溶け込んでいるので、かなり細い血管でも容易に流れることができます (一方、結合酸素は赤血球内に存在するので、赤血球が流れることのできない毛細血管の先にはたどり着くことができません)。酸素カプセルの第1の働きは、体内の溶存酸素を増やすことです。溶存酸素は、高濃度の酸素を含んだ空気を吸っただけでも、気圧を上昇させただけでも増えません。溶存酸素は、高い気圧と高濃度の酸素を併用することによって増えます。
酸素濃度と気圧の違いにより水に溶け込む溶存酸素量を比較しました。気圧を上昇させて、さらに酸素濃度を増大させることによって溶存酸素は増えます。
縦軸:溶存酸素量 (mg/L)
横軸:1,1気圧,酸素濃度20.9%;; 2,1.10気圧,22.3%; 3,1.15気圧,24.9%;; 4,1.20気圧,25.7%; 5,1.25気圧, 27.4%;; 6,1.25気圧,30.1%; 7,1.25気圧,31.8%;; 8,1.25気圧,33.3%; 9,1.25気圧,34.4%; 10,1.25気圧,35.5%; 11,1.25気圧,36.0%;
酸素カプセルの第2の働きは、血液を隅々の血管 (毛細血管) まで力強く流すことです。体内の酸素を増やしても血流がなければ細胞は酸素を受け取ることができません。体の隅々まで血液を流すことができて初めて酸素を有効に利用できます。
また、細胞は、多くの酸素を受け取ればそれだけ多くの二酸化炭素を排出します。二酸化炭素が増えることにより多くの血液が流れるようになります。このように酸素カプセルの第3の働きは、血流量を増大することです。
酸素カプセルでは、高い気圧と高濃度の酸素の併用が不可欠になります。しかしながら、どのような気圧や酸素濃度を使用するのか、気圧や酸素濃度の上昇・下降の速度、酸素カプセルへの滞在時間、酸素カプセル内の温度や湿度、容積など多くの条件が酸素カプセルの効果に大きく影響します。例えば、酸素カプセル内の気圧や酸素濃度が低いと溶存酸素は増えません。反対に気圧や酸素濃度が高すぎると、鼓膜が破損したり、血液がドロドロになったり、細胞を破壊する活性酸素が増えるなどの問題が生じます。また、酸素カプセル内が狭いと温度や湿度が上昇しやすくなるので、溶存酸素が体内へ溶け込めなくなります。
酸素カプセルは、これらの問題点を多くの実験により検討・克服して開発された装置です。これまでに酸素カプセルによって数多くの研究成果が得られており、したがって、確実な効果を得ることができます。
酸素カプセルは、細胞を破壊する活性酸素を増やさないので安心して使用して頂けます。健康な成人男女 (24名) に50分間にわたり酸素カプセル (1.25気圧、酸素濃度36%) に滞在してもらい、酸素カプセルに入る前と酸素カプセルから出て30分後に、(A) 心拍数 (回/分)、(B) 酸素飽和度 (%)、(C) 活性酸素 (フリーラジカル) 量 (CARR U) を測定して比較しました。
横軸 (A,B,C):1,酸素カプセルに入る前;2,酸素カプセルから出て30分後
高い気圧と高濃度の酸素を併用することにより細胞の代謝を向上できます。代謝の向上とは、細胞が活発に働くことを意味します。細胞が活発に働けば、若々しい細胞の状態を維持できます。運動しても代謝は上がりますが、この場合は心臓への負担が大きくなります。さらに、運動では消費される酸素を補給するために、活動する骨格筋で酸素の取り込みが増えるだけです。酸素カプセルは、酸素不足を補うだけではなく、酸素不足になりやすい末梢の細胞へ積極的に酸素を供給します。その結果、下記のような効果が得られています。
- 血流量や皮膚温を上昇させます
酸素カプセルの重要な働きとして、血流量を増やして細胞の代謝を向上させることがあります。酸素カプセルは血流速度の増加や血管の拡張を引き起こしますので、血流量を顕著に増やすことができます。血流量が増えることにより細胞の代謝が向上するので皮膚温が上がります。

酸素カプセルは、血流量や皮膚温を上昇させます。健康な成人男性 (24名) に50分間にわたって酸素カプセル (1.25気圧、酸素濃度37.5%) に滞在してもらい、酸素カプセルに入る前後で上肢の (A) 血流量 (任意の値による増加率) と (B) 皮膚温 (任意の値による増加率) を測定しました。
横軸 (A,B):1,酸素カプセルに入る前;2,酸素カプセルから出た直後;3,酸素カプセルから出て30分後;4,酸素カプセルから出て60分後 - 有酸素的な代謝を向上させます
酸素カプセルを継続的に使用することにより細胞の有酸素的な代謝が向上します。有酸素的な代謝が向上すると、持久能力が高くなり、疲れにくくなります。また、疲れても回復が早くなること、怪我の早期治癒や怪我をしなくなることなどを期待できます。

酸素カプセルは、有酸素的な代謝 (持久力) を向上させます。実験動物 (ラット) を1日12時間にわたって酸素カプセル (1.25気圧、酸素濃度36%から39%) で飼育しました。酸素カプセルに入っていない12時間は、回転車輪のついた飼育ケージで飼育しました。酸素カプセルで飼育したラットは、普通飼育したラット (1日12時間は回転車輪のついた飼育ケージで飼育しました) よりも1.44倍の走行距離を示しました。また、普通飼育したラットと酸素カプセルで飼育したラットの骨格筋を比較すると、持久的な能力の高い筋細胞が増えていました。
縦軸:走行量 (km/日),1週間の走行距離を7で割って1日あたりの走行量
横軸:1から8,生後6週齢から生後13週齢まで - 疲労物質を減少させて筋肉を柔らかくします
疲労すると筋肉には疲労物質が蓄積します。疲労物質は体内の酸素を奪い取り、細胞の代謝を低下させます。その結果、筋肉は硬くなり、血液の流れが悪くなります。このような場合、筋肉は壊れやすくなります。 酸素カプセルを継続的に使用することにより柔らかい筋肉を維持することができます。柔らかい筋肉は、血液の循環がよく、筋細胞の隅々まで十分な酸素を補給します。

酸素カプセルは、疲労物質を少なくして筋肉を柔らかくします。スポーツ選手の5日間の合宿中に1日1回、1時間にわたり酸素カプセル (1.25気圧、酸素濃度38%) に滞在してもらい、最終日に酸素カプセルに入る前後で (A) 疲労物質 (mg/dl) と (B) 下肢の筋硬度 (任意の値による変化量) を測定しました。 横軸 (A,B):1,酸素カプセルに入る前;2,酸素カプセルから出た直後 - 血圧や血糖値の上昇を抑制します
酸素カプセルの継続的な使用によって有酸素的な代謝を向上させることができます。有酸素的な代謝を向上させることにより高血圧や高血糖を抑制して生活習慣病から体を守ります。

酸素カプセルは、血圧や血糖の上昇を抑制します。糖尿病または高血圧を発症する実験動物 (ラット) を1日6時間にわたって酸素カプセル (1.25気圧、酸素濃度36%) で飼育しました。酸素カプセルに滞在することによって、糖尿病、高血圧を発症するラットは、それぞれ (A) 血糖、(B) 血圧の上昇が抑制されました。
横軸:1から5,生後5週齢から2週間おきに生後13週齢まで測定した。1の生後5週齢は、酸素カプセルの実験を開始する前の値。緑が普通飼育した糖尿病ラット (A) または高血圧ラット (B)、青が高気圧・高濃度酸素の環境で飼育した糖尿病ラット (A) または高血圧ラット (B)
上記の効果は、これまでに酸素カプセルで得られた研究結果の一部であり、現在も人及び実験動物を用いて研究を続けています。
本資料は、京都大学大学院人間・環境学研究科の石原昭彦教授の指導により作成しました。本資料の内容や図を無断で転載・使用することを禁止します。

